《1997》 抗認知症薬をやめるだけで名医って、ヘン! [認知症]

昨日午後は、「一般社団法人・抗認知症薬の適量処方を実現する会」
設立趣旨説明の記者会見を厚労省でしていました。

正午に厚労省に着くと、テレビ局の車が何台か停まり、カメラが運び込まれていました。
「なにか事件があったのかな?」と思いながら、会見室に入りました。

先ほどのテレビカメラは、どうやら私達のためのものであることに気がつきました。
会見室が記者さんたちで満員になり、用意した資料はすぐに「売り切れ」になりました。

「一般社団法人・抗認知症薬の適量処方を実現する会」設立の経緯を話しました。
「増量規定によって造られた認知症が増えている」こともお話ししました。

さまざまな質問が飛んできました。
副作用の実態のエビデンスは無いのか?

なるほど、エビデンスね。
まあそれを作るために、この会を設立したのですが。

15年間これだけ多くの被害者が出ていながら、誰も取り組まないのでやるだけです。
本来は専門医集団である医学会がやるべき仕事でしょうが、誰もやりません。

おそらく製薬会社とのしがらみがあるのでしょう。
名の通った専門医の多くは、製薬会社と深い関係にあるのでそれができないのです。

国が謳う地域包括ケアとは、認知症になっても住み慣れた地域で
最期まで暮らせる仕組みを、多職種と地域住民で構築することです。

しかし新・オレンジプランでは、認知症の人はかかりつけ医から専門病院に集められ、
いろんな検査をされて認知症の烙印を押され、抗認知症薬を開始されるのです。

そして一度開始された抗認知症薬は、機械的、画一的にどんどん増量されます。
たとえ易怒性、吐き気、歩行障害などの副作用が出ても、減量はできません。

ある認知症専門医は、「それは副作用ではなく主作用だから中止してはダメ」
とマスメディアを通じて啓発されていますが、犠牲者を増やしているだけです。

私はこれまで、二千人以上の認知症の人を診てきました。
現在も数百人の認知症の人を、外来や在宅で診ています。

認知症で困っている人が毎日来られますが、前医から処方されている
抗認知症薬を止めるだけで、別人のように元気になった人がたくさんいます。

ご家族からもの凄く感謝され、「名医」と言われます。
でも、よく考えて。

抗認知症薬を中止するだけで名医だって!?

おかしいと思いませんか?
ヘン、ですよね。

しかしそれが私の日常です。

そんな想いを記者会見にぶつけたつもりですが、記者さんたちにどれだけ伝わったか。
1時間連続でテレビカメラや記者さんたちの前で話し続けたのは、初体験でした。

何の話かよく分からない、という人にお知らせがあります。

来年1月10日に西宮市で毎年恒例の「かいご楽快(がっかい)」をやります。
朝から晩まで、映画もショーも認知症界で活躍する実力者トークも楽しめます。

http://www.drnagao.com/img/lecture/20160110.pdf

3月13日(日)第2回認知症医療研究会をパシフィコ横浜で開催します。
「一般社団法人・抗認知症薬の適量処方を実現する会」の話もします。

http://www.drnagao.com/img/lecture/nihonninntisyou20160313.pdf

夜は、認知症の権威のある先生の講演を拝聴しました。
認知症は「抗認知症薬ではなく信頼関係とケアの技術だ」との言葉に勇気づけられた。

慣れない記者会見が終わり、ホッとしてまます。

興味のある人は、拙書「家族よボケと闘うな!」を読んでください。