《1998》 今頃になって、抗がん剤の“やめどき”が議論されるなんて [がん]

川島なお美さんは、抗がん剤を拒否されました。
一方、北斗晶さんは抗がん剤治療を開始されます。

一見、この2人は真反対のことをしているように見えるかも知れません。
やるかやらないか、の二元論で語れば、真反対の行動に見えるかもしれません。

しかし川島さんと北斗さんでは、がんができた臓器が違うし、
がんのステージが違います。

だから、いい悪い、やるやらない、で論じても意味が無いのです。
その時代に有効とされる治療法を、リスクを覚悟してやるしかないでしょう。

今、2年前に出た「抗がん剤・10のやめどき」という本も売れています。
この本で言いたかったことは「やめどきは自分で決める」という覚悟です。

私の持論は「すべての医療にはやめどきがある」。
降圧剤もインスリンも抗認知症薬も抗がん剤も、“やめどき”があるのです。

“やめどき”を間違えると、せっかくのいい治療も苦い思い出に変わってしまいます。
だからこそ、現在の治療の“やめどき”がとても大切なのです。

医学専門雑誌にも時折“やめどき”という文字が登場する時代になってきました。
2年前には誰も使っていなかった言葉ですが、全国各地を講演して回った甲斐があった。

元・慶応大学の近藤誠先生は、過剰医療に警告をされています。
私も、穏やかな最期に過剰医療は不要であることを3年間、主張してきました。

しかし、早期がんやがん検診に対する考え方は、近藤さんと私は違います。
その辺のことを「長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか?」に書きました。

昨日ご紹介したこの本の共著者の近藤誠さんは、慶応大学の近藤さんではなくて
愛媛県西条市の役人さんの近藤さんですので、これぐれもお間違えのないように!