《1375》 早期胃がんを放置したら(その2) [未分類]

手術を受けず真の意味で自然経過を推定できる集団では、
23例(61%)が、胃がんで死亡していました。
つまり放置した場合の5年生存率は約40%。

厳密にいうと、これらの値は早期胃がんは手術ないし
剖検で得られた標本からでのみしか確認できないという
前提のもとで解釈しなければいけない、ということです。

内視鏡検査での早期胃がんの診断精度が80%であるとしています。
従って当初の集団の20%は、この研究に加わった時点で、すでに
進行がんになっていた可能性があったとも言えて結構複雑な話です。

また早期胃がんと診断された高齢者や虚弱な患者さんなどでは
もし放置した場合、胃がん以外でも死亡することがあります。
がんが見つかっても、がん以外で亡くなるケースもよくある。

前癌状態にある大腸ポリープが浸潤性を示すまでに
結構長い期間を要することが知られています。
一方、早期胃がんは、当初から浸潤性を持つことが確認されました。

やはり働き盛りの人なら、胃がんは早期に発見できるならば、
発見したほうがいいという話になります。
一方、高齢者や虚弱な患者さんはケースバイケースでしょうか。

現在、早期胃がんと診断される患者さんが増加ししてます。
これは日本の消化器内視鏡医の診断技術が、高いためです。
その土台には、内視鏡工学の向上になされた投資もあります。

より早い段階で発見された早期胃がんの割合は、
いわゆる"胃炎様"がんとして、増加しています。
専門施設では早期胃がんの半分以上を占めているそうです。

これは、ほとんどのがんが潰瘍になる前に発見されている
ことを意味し、大多数で進行の段階が
粘膜下ではなく粘膜内であることを意味します。

これらの初期の胃がんは治療すれば、9割が治ります。
しかし、もし放置すれば5年後に、6割が亡くなります。

ということは、やはり早期がんという概念が必要なはず。
そして早期がんはやがて進行がんになる傾向があります。

ただ高齢者の胃がんでは多くの場合進行に時間がかかるため、
早期に発見しても臨床的には重大ではない可能性があります。

(続く)