《1502》 がん予防とビタミン [未分類]

「長尾先生、がんにならんようにビタミン出して!」
「風邪にかかったからビタミン剤を注射して!」
「疲れたのでビタミン剤も処方して下さい」

町医者のもとには、ビタミン剤を求める方が
今日も訪れます。
日本人のビタミン信仰は相当なものです。

「口からの食事で、充分足りているので大丈夫!」
「ビタミン剤を摂りすぎると、副作用が生じるよ」
「健康保険では、もうそんなことはできないんだ」

上記はすべて本当ですが、なかなか信じてもらえません。

意地悪な私は、「何のビタミンにしましょうか?」と聞くことも。
すると「ビタミンだったらなんでもいいから」と返ってきます。
ビタミン談義で相当な時間をとられることがよくあります。

今春、米国から「ビタミンは、がん予防に無効」との
勧告が出ました。
健康食品業者には申し訳ありませんがご紹介します。

健常な成人による心血管疾患/癌予防目的でのビタミンサプリメント摂取について、米国予防医学作業部会(USPSTF)が2003年発表の勧告を改訂。
マルチビタミンや栄養サプリメントの有効性・有害性の判断には既存のエビデンスでは不十分とした。
また、心血管疾患/癌予防のためのβ-カロチンやビタミンE摂取は推奨しないとする勧告を発表した。

文献:Virginia A. M,et al.Vitamin, Mineral, and Multivitamin Supplements for the Primary Prevention of Cardiovascular Disease and Cancer: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement.Ann Intern Med. 2014;160(8):558-564.