《1506》 結構多い、機能性ディスペプシア [未分類]

みぞおちに痛みや不快感が持続する、あるいは
お腹が張る、食欲が無い、吐き気が続く、といった
症状が続いているひとはいませんか?

みなさん「胃潰瘍かな? 胃がんかな?」と思われるでしょう。
しかし胃透視や胃カメラなどの検査をしても異常なし、さらに
腹部エコーで膵臓を調べても異常なしという人が増えています。

「これだけ痛いのに異常無いなんておかしいぞ!」と怒る方も。

現在、こうした状態を、「機能性ディスペプシア(FD)」と
呼ぶことになっています。
同じく増加中の逆流性食道炎は、FDに含まないことに。

また慢性胃炎と似ていますが、同じものではありません。
内視鏡や胃粘膜の顕微鏡の所見で“胃炎”の像が無くても、
「痛い、痛い!」と訴え続ける人(FD)がいるからです。

日本人のFDの有病率は、健診受診者の11~17%。
みぞおちの痛みを訴えて受診する人の45~53%です。
実は、腹痛でいちばん多い病気であるのがこのFDなのです。

FDとはがんや潰瘍や胃炎などの病気は無いが胃が痛む病気。
従ってFDの診断においては内視鏡検査が不可欠です。
ちなみに痛み止めを飲んでいて胃が痛くなる病態は含めません。

胃の動きが悪い場合や胃の知覚過敏になる場合のみならず、
胃酸の分泌が多い場合や精神的ストレスの関与など様々な
原因が考えられていますが、まだ明確な原因は不明です。

胃下垂などの胃の形態やアルコールや喫煙など様々な因子が
関与していると考えられています。
また家族性や遺伝性のFDもあると言われています。

子供の時に虐待を受けたことが原因でおこるFDも知られています。
従ってFDの治療もさまざまなものがあります。
PPIやH2ブロッカーなどの酸分泌抑制薬がよく効く場合がある。

ピロリ菌陽性の場合は、除菌により症状が改善することもあります。
また、脂ものを控えるなどの食事療法がよく効くという人もいます。
医療機関においては、薬物療法に加えて種々の生活指導も行います。

現在、FDの治療薬として注目されているのは消化管運動機能改善薬。
日本ではトリメブチン、メトクロプラミド、ドンペリドン、イトプリド、
モサプリド、アコチアミドなどのFD用のお薬が使われています。

漢方薬では六君子湯が有名です。
FDの人はお腹が痛くなるのを恐れて仕事や外出を控える人も。
そんな人には、抗うつ剤や抗不安薬が使われることもあります。

しかし症状が治まれば、これらのお薬は中止してかまいません。
ちなみにFDは、逆流性食道炎や過敏性腸症候群(IBS)を
合併することが多いことも知られているので結構、複雑です。

内視鏡検査で異常が無いのに痛みが続くのがFD。
みぞおちの痛みや不快感が続くひとは、FDかも?
多くの人に知って欲しい病気です。