《1508》 「フレイル」、あなたは大丈夫? [未分類]

「しんどい」とか「よれよれする」と訴える高齢者が受診されます。
「年を取ると誰でもで筋力や活力が衰え、老化現象ですよ」
そんな説明をすると、烈火のごとく怒るひとがいます。

「老化は分っているけど、医者に言われたくないわ!」
そう言い残して、二度と来院されなくなった人もいます。
80歳でも「老化」という言葉がNGの場合があります。

日本老年医学会は、
筋力や活力が衰えた段階を「フレイル」と命名し、
今後予防に取り組むとする提言をまとめました。
これまでは「老化現象」として見過ごされてきたものを統一。

フレイルとは「虚弱」を意味する英語「frailty」に由来。
健康と病気の「中間的な段階」で、
75歳以上の多くは、この段階を経て要介護状態に陥るとされています。

加齢につれて筋力が衰える現象は「サルコペニア」と呼ばれます。
さらに生活機能が全般的に低くなると「フレイル」となるのです。
つまり「サルコペニア」→「フレイル」→「要介護状態」です。

米国老年医学会の評価法では、
(1)移動能力の低下
(2)握力の低下
(3)体重の減少
(4)疲労感の自覚
(5)活動レベルの低下のうち、
三つが当てはまると、「フレイル」という段階と認定しています。

国立長寿医療研究センターの調査によると、
愛知県大府市に住む
65歳以上の高齢者約5千人(脳卒中などの持病がある人を除く)のうち、
11%が該当したといいます。

たんぱく質を含んだ食事や定期的な運動によって、
この段階になるのを防いだり、遅らせたりできます。

適切に対応すれば、心身のよい状態を長く保つことができます。
健康長寿は医療や介護の費用の抑制にもつながります。
メタボ、ロコモの次に、フレイルを是非覚えておいてください。

フレイルの予防法

(1)十分なたんぱく質、ビタミン、ミネラルを含む食事

(2)ストレッチ、ウオーキングなどを定期的に行う

(3)身体の活動量や認知機能を定期的にチェック

(4)感染予防(ワクチン接種を含む)

(5)手術の後は栄養やリハビリなど適切なケアを受ける

(6)内服薬が多い人(6種類以上)は主治医と相談

(荒井秀典・京都大教授による)