《1522》 腸炎のお薬で腸炎に!? [未分類]

昨日は、脳梗塞予防で飲んだアスピリンで胃潰瘍が出来て
出血して貧血で入院した高齢者の話を書きました。
今後、このような血液サラサラ薬の副作用は増えるでしょう。

アスピリンは胃だけでなく小腸や大腸の粘膜も傷つけます。
カプセル内視鏡で小腸を観察すると、あちこちから出血して
いた症例を見てから、気軽に使うことが怖くなりました。

大腸でも出血を起こすことがあります。
要は、細かな血管が密にある粘膜面を傷つけるのです。
胃は胃薬の併用で少しは予防できますが他は無理です。

さて、先日、下痢と血便で初診された方がいました。
問診と診察で「感染性胃腸炎」かと思いました。
前のお医者さんで数日前に抗生剤を投与されたとのこと。

血便があるので肛門から20~30cmだけ内視鏡で検査。
すると直腸~S状結腸の粘膜がただれて出血していました。
あちこちに汚い白苔が点状に付着していました。

内視鏡専門医ならそれだけで「偽膜性腸炎」だとわかります。
毒素を出す「クロストリジウム・ディフィシル」という細菌が原因です。
粘膜を生検して細菌培養に出せば、確定診断となります。

そもそもなぜ、そんな聞いたことが無い菌が増えるのか。
それは抗生剤の投与により腸内細菌叢の乱れが原因です。
普段は目立たない日蔭の身の細菌が急に暴れ出すのです。

腸炎の薬で腸炎に……

これも抗生剤の副作用のひとつです。
いわば医原病です。
それでも抗生剤は、毎日使っています。

以上は、薬剤起因性胃腸炎と言います。
薬剤とは、抗生剤であったり、血液サラサラ薬であったりします。
クスリはこのようなリスクと裏返しであることを忘れてはなりません。