《1526》 B型肝炎の治療も進歩している [未分類]

すっかりC型肝炎の院に隠れてしまった感があるB型肝炎。
歴史はこちらのほうが古いのですが、あまり目立ちません。
母子感染の方と、後天的な感染の方の2通りおられます。

昔は、B型肝炎で肝硬変になったら、
もう元には戻らないと信じられていました。
しかし開業して5年目に、ある患者さんに教えられました。

その方はB型肝炎から肝硬変になり、どんどん悪化していました。
肝硬変の程度は、血小板の数でだいたい分かるのですが、
その方の血小板は3万程度でした。

「先生、私のB型肝炎は治りませんか?」

「残念ながら、今の医学ではどうすることもできません」

以降、その方は私のクリニックに来られなくなりました。
「悪いことを言ったな」とちょと反省していました。
しかし、1年後にその方が、再び私の前に現れました。

なんと血小板は16万位に増えて、顔つきも肝硬変
とは思えないものになっていました。
鼻の頭の毛細血管が消えて、顔色も良くなっていました。

ある病院に行って、治験薬としてエイズのお薬を飲んだそうです。
するとウイルスが減ったばかりでなく肝炎も鎮静化したそうです。
さらに、肝硬変も改善し、慢性肝炎の状態にバックしたそうです。

当時はキツネにつままれたような目でその患者さんを眺めていた。
しかしそのお薬こそが、「核酸アナログ」と呼ばれる特効薬です。
これは飲み薬であって、注射針が無いので、とても喜ばれます。

ある条件を満たしたB型肝炎の方に、投与されます。
現在では、3種類の核酸アナログ製剤が使われています。
当院でも、2種類のお薬のどちらかで治療しています。

もちろん肝炎助成金を使いますから、肝炎拠点病院との
連携下でないと、そのような治療が出来ない仕組みになっています。
また35歳以下の方には、原則インターフェロン治療を行います。

B型肝炎とC型肝炎は、似ているようで全然、違う病態です。
どちらも肝臓がんができ易いのですが、その予想図が異なります。
C型肝炎の場合は肝硬変が進むほど、年齢が進むほどがんが出来る。

一方、B型肝炎はいつがんが出来るのか分らないのが、特徴です。
ただB型肝炎ウイルスの量が多いほどがんができ易いことが分っています。

いずれにせよ、B型肝炎と指摘された方は是非、かかりつけ医に
相談することから始めてください。
飲み薬でウイルス量ゼロを維持することが簡単にできる時代です。