《1527》 医師も胃ろうで悩んでいる [未分類]

土日は、全国の在宅医に4コマの講義をしていました。
この仕事を引き受けたのはこれで3年目。
とても大切な仕事で、身が引き締まる思いで頑張りました。

何人かの医師達から個人的に相談をいただきました。
なんとそのほとんどが、胃ろうの相談でした。
患者さんの胃ろうではなく、自分の身内の胃ろうです。

親や親せきが入院したり、施設に入ったりして胃ろうをしているが、
意思疎通もできなくなり、胃ろうをやめたいという相談内容。
しかしそれだけでは、なんともお答えしようもありません。

本当は、全国の医師達にお伝えしたいことが山のようにある。
特に、4コマ目の「終末期医療」については、
とても80分の時間内には収まらず、
1日かけて伝えたいことが満載です。

午後は、横浜で市民に向けて講演しましたが、
講演後にやはり胃ろうに関する質問をいくつか頂きました。
拙書「胃ろうという選択、しない選択」も読んだ上での相談。

夜には、知人から久々に電話がかかってきました。
これも親の胃ろうの相談でした。
相当に悩まれていました。

それぞれ聞いていると、答えるのに難しい相談ばかり。
日々、手紙やメールでも沢山の胃ろうの相談を頂きます。
しかし一つひとつ聞いていたらとても時間が足りません。

第一に、現在入院中、あるいは入所中であれば、そこに主治医がいるはずです。
その医師とよく相談して欲しい、としか言いようがありません。
部外者の私が外から、ああだこうだ言うのは、ルール違反です。

そのように説明しますが、納得されないことが多いです。
すると、その主治医についての不満に話が変わったりもします。
しかしそれでも主治医や施設長とよく相談するしか方法は無い。

胃ろうは、最も優れた人工栄養の道具です。
しかし、それが人々をここまで苦しめているのが現実です。
このままでいいとは、とても思えません。

問題は相当に複雑で、単純化できません。
極論ばやりの世の中ですが、医療は極論では解決しません。
胃ろうに関する啓発がもっと必要だと強く感じた日曜日でした。