《1535》 鼻からチューブは何のためにある? (Q&Aその8) [未分類]

胃ろうは減っているけども、鼻からチューブは増えている。
これは事実だと思います。
今、この時も、鼻からチューブ栄養が開始される人がいる。

何故、鼻からチューブ栄養が増えるのか?

  1. 家族が胃ろうを拒否するから
  2. 代替案として、鼻からチューブが登場
  3. スタッフはそれを見越して最初から鼻からを提案

胃ろうより鼻からチューブのほうがいい、と信じている
家族が大勢おられます。
あるいは、高カロリー栄養(IVH)のほうがいい、と。

しかし、答えは、NOです。
胃ろうが、もっとも優れた人工栄養法なのです。
人工栄養をするなら、断然、胃ろうが優れています。

では、鼻からチューブは、どんな時に使うのでしょうか?

  • 胃ろう造設までの「つなぎ」として
  • 人工栄養を必要とする期間が短期間と予想される時
  • 胃ろうが造設出来ない時

などでしょうか?

あくまで「つなぎ」のイメージです。
しかし、永久的に鼻からチューブを希望される家族もいる。
鼻からチューブは本人も辛いが、医療スタッフも辛いです。

夜間にチューブを自己抜去すると、電話がかかってきます。
「今からすぐに再挿入して欲しい、さもないと訴える」と。
朝一番に入れれば十分なのですが、それまで待てないのです。

夜中、寝ている時にご飯を食べる人なんてこの世にいません。
というか、寝ているので食べられません。
そんな当たり前の事を、管を入れた瞬間から忘れてしまうのです。

つまり、管という人工物が体内に入った途端に、デジタル人間に
なったような錯覚に介護者が陥るのです。
そのデジタルの電源が切れているのを、待てなくなるのでしょう。

病院から「鼻からチューブですが、それでも在宅医療でいいですか?」
と打診があります。
それを嫌う医者が多いからです。

私も嫌いですが、引き受けざるを得ないことが時々あります。
家族の説得は、病院でも、在宅でも行いますが、謝った刷り込み
を解くことは大変な作業で、現実には不可能な場合があります。

かくして、死ぬまで鼻からチューブ、となる場合もあります。