《1607》 医療経済と尊厳は両立する [未分類]

ある講演後の懇親会で、薬剤師さんに質問されました。

「もし財源が無限にあったら、在宅医療推進はあったでしょうか?」

よく聞かれる質問です。
素朴な疑問でしょう。
しかし、とても大切な視点だと思ったので、丁寧に答えました。

お金が無いから在宅推進、ではないと思います。
人生の最期を自宅で過ごす価値を国が認めているのです。
どちらかというと、医療経済より尊厳優先だと思います。

そう答えると、必ず、こう切り返されます。

「でも在宅医療って、安上がりやろ?」

総じてそうかもしれませんが、そうとは限りません。
ホテルの朝食を考えてみてください。
ビュッフェスタイルかルームサービスか。

前者のほうが安上がりに決まっています。
本気で安くあげようと思ったら、体育館のような大きな建物に
沢山収容したほうがいいよね。

ちまちまルームサービスに応じていたら効率悪いし。
たとえば、人工呼吸器がついたALSの患者さんを在宅医療で
何人か診ているけれど、専門病院に集めたほうが医療費は安い。

しかし、なぜ在宅医療を認めているのかといえば、
たとえコストが多少高くても、本人の生活の質(QOL)や満足度を優先しているのだと思う。
だから在宅って、単に安かろう悪かろう、ではないと思うんだ。

その薬剤師さんは考え込んでいました。

そもそも医療経済と尊厳が相反すると仮定することが
間違いじゃないかと思っているんだ。
僕は、医療経済と尊厳は自然に両立するとずっと思っているんだ。

「そんなこと、初めて聞きました……。」

そうだろうね。
僕もそんなこと言うの初めてかな。
多分、誰もそんなこと言っていないから、正しいかどうか知らないけど。

でも、そんな大切な質問、講演会でしてくれたら良かったのに……。