《1654》 一夜限りの残波岬 [未分類]

一昨日は、NPO法人「つどい場さくらちゃん」主催の
沖縄ツアーに一晩だけ飛び入り参加しました。
認知症の人と家族、介護者ら総勢約40名が空を飛んだ。

例年、同様に北海道に旅行しておられますが、今回は
2泊3日の沖縄の旅でした。
私が診ている患者さんや介護者も何人か参加されました。

要介護5で歩けない方も参加しています。
たとえ歩けなくても車椅子に座れれば飛行機に乗れます。
今の飛行機は寝たきりや障害者の人でも乗せてくれます。

要介護者の旅行ですから、ゆったりしてます。
今回の宿泊は、2泊とも残波岬ロイヤルホテルでした。
私は、サプライズ余興のため、2日目の夜にお邪魔したのです。

大阪から那覇まで2時間、そしてレンタカーで1時間半。
午前中の診療と午後の往診を終えて、分刻みで移動して予定どおり無事到着。
20分間で着替えとリハーサルをして、予定の19時半ジャストに宴会場に。

カツラと帽子とサングラスで変装して、30分間昭和歌謡を10曲歌いました。
約半数の人が「地元の売れない下手なお笑い芸人」だと思っていて大成功でした。

2年前の伊勢神宮への旅行の時は宴会だけで、なにか物足りなかったのです。
そこで今回、思い切って飛びました。

昼すぎに帰阪して、何く食わぬ顔で産業医業務、往診、そして夜の診療でした。
診療後も往診、そして行政の方との会議などで全てが終わったのは午前2時。
結局、残波岬の海を眺められたのは、朝食時の30分だけでした。

30分の余興と、30分のホテルの朝食会場からの絶景の、計1時間の旅。
たったこれだけの事に沖縄まで往復している自分は“アホ”でしょう。
2年前の元旦に黒田裕子さんに呼ばれての気仙沼の被災者訪問も同じ。

今回は、有岡富子さんという99歳の要介護5のばあちゃんがいるからです。
富ちゃんが在宅主治医の私を認識しているのかどうかは、よく分かりません。
富ちゃんはだんだん弱っているので、沖縄に行くのは最後かもしれません。

もちろん、富ちゃんより私のほうが先に逝くかもしれません。
一昨日の夜に富ちゃんと沖縄に一緒に居たこと、それ自体が“奇跡”に思えました。
そんな実感を得るために、一夜限りの沖縄行きを決めました。

人生は、こうしたサプライズのためにあるのでしょう。
ホテルの13階にある朝食会場でのつどい場の仲間たちと富ちゃんです。

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