《1676》 インスリン注射を急にやめたら [未分類]

先日、ある病院で終末期医療について講演をしました。
そこで出会った医師に、ある相談を受けました。
「インスリン治療を急にやめた患者さんがいて……」

どうやら、ベストセラーになっている医療否定本を読み、
それを真に受けて、ある日治療を中止したそうです。
急に来院しなくなったと。

医療否定本には「血糖値は高いほうがいい」と書かれていると。
高齢者の歳相応の糖尿病ならいざ知らず、まだ若い患者です。
案の定、脳梗塞を起こしたことを後で知ったそうです。

その医師は「もったいないことをした」と言われました。
たしかに、もったいない脳梗塞だと思います。
ちゃんと治療を受けていたら、そうならなかった可能性が高い。

講演会では、がんの終末期医療について話しました。
「がんもどき理論」や「がん放置療法」のどこが間違いなのか、
一方で、がん医療界も反省すべき点があることも話しました。

がん医療への恨みつらみが、今度は糖尿病や高血圧に飛び火している。
がんのとばっちりを受けた格好ですが、損をするのは誰でしょうか?
不利益を被るのはもちろん、患者さん自身です。

世の中には、売れている書籍を真に受ける方も沢山おられます。
その患者さんも結局、医療否定本の犠牲者になったわけです。
100歳の人ならいいかもしれないが、若い人なら治療をしたほうがいい。

医療行為をする際に、年齢はとても大切だと思います。
あるいは、糖尿病の原因や程度によっても療養方針は異なります。
医療否定本は極論だけですから、どうか真に受けないようにして下さい。