《1681》 弁護士も医療事故を待ちかまえている? [未分類]

昭和大学病院長の有賀徹氏は「全国医学部長病院長会議の考え方」

について発表されました。
医学部長病院長が医療事故についてどう考えているのか分りました。

有賀氏はまず、全国医学部長病院長会議が2013年にまとめた、
医療事故調査制度に関する報告書を紹介されました。
WHOドラフトガイドラインに準拠し、院内調査を基本とするのが骨子です。

同会議の今年5月の「死因究明に向けての動向に鑑みて」では、

「一般診療と同様に、医療安全の面でも中小病院を地域の基幹病院が
支援する構図になっている。このことにより、事故の当事者である患者と家族と
医療者の間における信頼関係が強化・補完できる」と提言していると説明された。

医療事故への対応は、日常診療の延長戦上で行うものであり、
「医療の外」で行う紛争処理とは次元が異なるとも主張されました。

さらに有賀氏は、今年10月25日の読売新聞に掲載された、
「交通事故訴訟、10年で5倍に…弁護士保険利用」というニュースを紹介。
「弁護士の報酬が目的か」と問いかけ、
同様の「喧嘩の構図」を医療事故調査に持ち込むことをけん制しました。

今後の医療事故調査制度の制度設計に当たっては、
(1)調査報告書の扱い、
(2)遺族が、院内事故の結果を「諒」としない場合に、
第三者機関に訴える場合の対応がポイントになるとしました。

(1)の調査報告書は、日常診療の延長線上で事故調査を行う以上、
まずは結果をカルテに記載するのが第一歩であり、報告書はA4判1枚程度の
レポートを迅速に作成するのが、全国医学部長病院長会議の考え方だそうです。

「報告書」を訴訟などに使うことは、「目的外使用」であると問題視しました。
現在、日本医療機能評価機構と日本医療安全調査機構がありますが、
類似の組織は「二つも要らない」とも指摘しました。

私はまったくそのとうりであると思いました。
医者は弁護士さんの“餌食”にならないことを最優先します。
患者さんの利益より、まずは訴えられないことを考えます。

たとえば駅の看板やパンフレットには、こう書かれています。

パンフレットの左にある細かな字をよく見て下さい。
よく分からない案件でもとりあえずお金がとれるかもしれません。

その結果、医師はどんどん萎縮します。
ハイリスク科を選ぶ医師はわずかです。
それが医療崩壊の病理であります。