《1725》 抗インフル薬の予防投与の問題点 [未分類]

家庭内や職場内でインフルの人が出ると、周囲にうつる可能性がある。
そこで、濃厚接触者には抗インフル薬の予防投与が認められています。
ただし病気ではないので保険診療はできず、自由診療(全額自費)です。

特に高齢者や、心臓病や腎臓病などの基礎疾患をお持ちの方です。
糖尿病やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の方も対象になります。
また、この時期なら受験生も予防投与を希望して来院されます。

タミフルは、患者さんなら1日2錠を5日間飲みます。
しかし予防投与なら、1日1錠を10日間飲みます。
リレンザという吸入薬も同様です。

老人ホーム内での集団感染や死亡事例が、大きく報道されています。
施設内での集団感染を防ぐための予防投与は、どうすればいいのか?
いくつかの問題があります。

  1. だれに投与するのか? 対象者の選定
    (通常、濃厚接触者に予防投与が認められますが、どの範囲にするのか?)
  2. 施設で働く職員にも同様にするのか? 事務職まで?
  3. ワクチンを受けている人は除外するのか? しないのか?
  4. その費用は誰が負担するのか? 事業主? それとも個人負担?
  5. 万一、副作用が生じた時は、いったい誰の責任なのか?

以上のような諸問題を至急、管理医師、施設長、そしてご家族さんと
よく話し合って、現場の実情に応じた対応をするしか方法はありません。
これは、通常の会社においても同じことが言えます。

会社の場合は、産業医がリーダーシップを取ることになりますが、
衛生スタッフや経営者との話し合いも必要です。
ワクチンと同様、予防投与による集団感染防止にはいろんな知恵が必要です。

PS)

明日は、神奈川県横須賀市で講演します。

 http://www.drnagao.com/lecture/lec_20150110_01.html

近くの人は是非聞きに来てください。