《1763》 奄美での2日間 [未分類]

2月14、15日と2日間連続で鹿児島県大島郡医師会のお招きで
奄美大島で在宅医療に関する多職種や市民への講演を行う機会を得ました。

多職種への講演は沖永良部島、徳之島、喜界島にも衛星中継され、
市民フォーラムでは島民のみなさまとも意見交換を行いました。

おかげで大島群島の9つの地域包括支援センターの活動を知りました。
今日は奄美群島での地域包括ケア推進について感じたことを報告します。

奄美大島や周辺の離島は、高齢化率が40%前後とかなり高く無医地区
ないし無病院地区も散見され、日本の将来を先取りしている地域です。
そして意外だったのは奄美でも認知症も増えているという話。

しかし踊りを取り入れた認知症予防や
祖父母と孫世代のバス旅行などの触れあい運動を積極的に行っていました。
現代社会ではありそうであまり無い試みです。

また地域包括支援センターのスタッフはたくましいです。
奄美には男性保健師も活躍していました。
社会福祉士たちはロコモ対策にもかなり力を入れていました。

どの地域包括支援センターのスタッフも元気いっぱいで、
健康長寿を目指した創意工夫に溢れた素晴らしい街づくりを継続されていました。
おまけに地域住民も非常に協力的で、一体感を感じました。

孤独死を出さないための見守り活動も盛んです。
それにしてもなぜ、奄美がこんなに元気なのでしょうか?
私なりに理由を考えてみました。

1)奄美の人口は7万人で各地域の人口は数千人程度と多すぎず適度。
2)地域包括支援センターは一ケ所の民間委託を除き行政直営である。
3)離島であること自体がまとまりやすい環境である。
4)大島郡医師会が地域包括ケア構築に熱心である。
ここは医師会病院を有する公益社団法人である。
5)島民気質が陽気であり介護予防のさまざまなプログラムに合っている。

奄美の医療・介護資源は決して多くありません。
離島では、急病人が出た時のドクターヘリや自衛隊の協力といった
救急医療体制に関する課題も多く抱えています。

巡回診療はあっても、いざ看取りとなると毎回大騒ぎになるという話もありました。
しかし各地域包括支援センターにおいて多職種連携の勉強会をきっちり重ねており、
各地域のかかりつけ医の意識は高いと思いました。

また訪問看護師やケアマネや薬剤師など多職種の在宅療養支援への意欲も高く、
やるべきことを素直にやれば地域包括ケアは自ずと実現することを学びました。
自治体の数だけ地域包括ケアがあります。

地域差や地域特性が大きいので、モデル化はあまり意味がないでしょうが、
奄美には参考にするべき点が多々ありました。
もちろん、豊かな自然や観光資源も魅力的でした。

実は尼崎市には多くの奄美出身の方が暮らしておられます。
今回の御縁を大切にして自分の地域の地域包括ケアに活かしたいと思いました。