《1783》 「毎日がアルツハイマー2」を観て語った [未分類]

一昨日は、「にしのみやフォーラム」の分科会として「かいご学会」
が開催されました。
「かいご学会」は、毎年恒例の認知症介護者の会です。

今年は、まず「毎日がアルツハイマー2」という映画を観ました。
この映画は、とてもユーモラスで哲学的で国際的で、
現在認知症で悩んでいる人や家族に超オススメの映画です。

この映画の監督である関口祐加氏が、西宮まで来てくれました。
また「治さなくてよい認知症」の著者である上田諭先生も来て頂き、
つどい場さくらちゃんの丸尾多重子さんとの4人での放談をしました。

本当にあっと言う間の90分でした。
本当は朝から晩まで4人で話したかったが時間は無情に流れました。
おそらく一生に一度きりの大変珍しい顔合わせだったとも思います。

関口監督の言葉で印象に残った言葉を3つ紹介します。

「認知症ケアで大切なことは、ホワイ(何故)!」

たしかに、何故か? を考えずに機械的に対応する場合が多い。
徘徊には、必ず目的があります。
買い物に行こうとするものの時間を間違っているだけなのです。

認知症の人の行動には、すべて意味がある。
その理由を考えると、なにも問題ではない。
しかし考えないと、すべて問題行動となる。

「日本もイギリスのようにプロとしての認知症ケアを教える、
国家的戦略ないし国家的プログラムが必要ではないか!」

たしかに、プロとしての介護福祉士は沢山います。
しかし認知症ケアの専門教育をどれだけ受けたのでしょうか?
医師や看護師も同じですが、本物の認知症教育が無いように思います。

関口監督は、長い海外経験に基づき貴重な提言をされました。
国は市民啓発と並行して、プロの養成にもっと力を入れるべきではないか。
介護の人材不足を嘆くだけでなく質の高い人材養成に投資すべきでしょう。

さらに、認知症の早期発見・早期治療は必要か? という問いに対して、
関口監督は、英語で答えられました。

「大切なことはアーリーではなく、タイムリーです!」

なるほど、がんと違って認知症は早期発見であればあるほど意味がある
とはとうてい言えません。
それより大切なものは、時期を逃さず診断するというシステムであると。

たしかに、本人や家族が、アレッ? と思った時に
どこに相談に行けばいいのかよく分からない。
なんとなくハードルが高い場所ばかりのような気がします。

私は、かかりつけ医が相談場所であると思っていますが、
市民にはそのような認識はまだないようです。
ネットで探しまわり、「とにかく専門医」となりがちです。

もっと詳しく知りたいという方は、映画や本を観て読んでください。
たとえば英国での試みの核心も知ることができます。
関口監督は、次作を製作中だそうで、それも楽しみです。

上田先生の本も是非、読んでください。そして丸尾さんと私の共著「ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!」もよろしければ。というわけで、非常に非常に密度の濃い90分でした。