《1812》 「がん」と診断されたときに、やるべきこと [未分類]

がん医療、ここが分らないシリーズ・5

「がん」と診断されたときに、やるべきことはなんですか?

 なるほど、患者さんから見たらこうなるのですね。
   恥ずかしながら、そうした視点で考えたことがあまりありませんでした。

思いつくまま、10ケ挙げてみましょう。
当たり前すぎて、面白くもなんともありませんが。

1)がんの情報を集める

2)家族や知人とよく相談する

3)納得のいく病院を探す

4)精密検査を受ける

5)家族と一緒に説明を受ける 

6)治療方針を決める

7)セカンドオピニオンを受ける

8)勤め先に報告をする

9)お金の準備をする 

10)保険会社に連絡をする

1)がんの情報を集める

巷にはがんの情報が溢れていますが、書籍とネットが主な情報源になるのでしょう。
最近は、誰の目にも極論と分かる本がよく売れていて、店頭ですぐに目につきます。
しかし、よく売れている=自分に役に立つとは限りません。
そもそも万人に役に立つがんの本など無いと思っていたほうがいいでしょう。

できれば、さまざまな立場で書かれた本を最低数冊、読んではどうでしょうか。
外科医、放射線医、化学療法医、緩和医療医、患者闘病記、ジャーナリストなど立場によって言うことがかなり違うことに気がつくはずです。

ネット情報も玉石混合ですね。
まずは国立がんセンターのホームページに書かれている内容を勉強しましょう。
良くも悪くも、現代の標準的ながん医療が分り易く提示されています。

ただし情報が多い方が幸せになるとは限りません。
それは、がん医療においても人生においても同じことかもしれません。
しかしがん医療は人(医師)に命を託す訳ですから、納得するための情報が必要です。

2)家族や知人とよく相談する

どんな人でも、がんの疑いと聞いただけで舞い上がってしまいます。
それまでは傍観者であったのが、その瞬間から当事者になるからです。

がんに関する偏った情報だけを信じて安易に一人で決めるより、落ち着いて家族や知人とよく相談されることをお勧めします。口コミも悪くありません。

3)納得のいく病院を探す

がん医療は、初回治療が大切です。途中で病院を変えることは患者さんにとってあまり利益が無いことが多いように思います。
できれば、多少遠くても納得のいく病院を探してください。

よく、がんの治療を受けた病院を恨む人がいます。
悪口を言いながらせっせと通うのは、生活習慣病ならいいかもしれませんが、がん医療においては、大きな後悔を残してしまいます。

4)精密検査を受ける

がんの診断と治療方針の決定までには、実に多くの検査が必要です。
それだけでくたびれてしまいますが、それをしないと前に進まないのががん医療。
「いいから、バサッと切ってくれ」と頼んでも、「はい切ります」とはいきません。

がんと非常に紛らわしい病気もたくさんあります。
がんだと思って手術をしたら、がんでは無かった、なんてことも稀にあります。
納得のいく病院で精密検査を受けることが、がん医療の始まりです。

5)家族と一緒に説明を受ける 

診察室で聞いたことを全部理解できる冷静な患者さんは少ないと思います。
検査の結果は、できたら家族や友人と一緒に聞きたほうがいいです。
もちろん聞きたいことは予めメモしてから診察室に入ってください。

6)治療方針を決める

そもそも、なんのための治療なのか?
手術の場合、根治を目的としているのか、目的としていないのか?
抗がん剤や放射線の場合、どの程度の効果と副作用が予想されるのか?

3大治療を上手に組み合わせることで治療効果が上がることが多いので外科医や化学療法医や放射線治療医の連携がとれているかも重要です。
かなりよく聞いて納得していないと、あとで後悔することになります。

7)セカンドオピニオンを受ける

いくら詳しい説明を受けても、迷う場合もあるでしょう。
セカンドオピニオンは、決して悪くありません。
必要だと思ったら、臆せずに担当医に申し出てください。

医者にしても、納得してから治療を受けて欲しいと願っています。
セカンドオピニオンをあからさまに嫌がる医者は、NGでしょう。
患者さんはセカンドオピニオンを受ける権利を持っています。

8)勤め先に報告をする

働き盛り世代の人ならば、休業を会社に報告しなければなりません。
治療期間や休業期間の目途についても、聞いておく必要があります。
診断書を書いてもらい、提出してください。

会社の同僚に知られたくないという場合もあるでしょう。
会社の衛生担当者は、医者と同様に守秘義務があります。
そこは割り切って、正直に連絡しておくべきでしょう。

9)お金の準備をする 

がん医療の大半は保険診療でカバーされているので、月額約9万円以上の医療費は後から申請すれば原則返ってきます。たがが知れています。
しかし先進医療や保険外診療や個室代などは、原則、自己負担になります。

仕事ができずに収入は途絶えるは、お金はかかるはで、壮年世代の人には病気より、お金のことで頭がいっぱいになってしまう人がおられます。
そんな人には、病院の相談室にいるMSWさんが、相談に乗ってくれます。

10)保険会社に連絡をする

がん保険に入っている人は、担当者に連絡を取りましょう。
イザという時のためのがん保険ですから、遠慮は要りません。
先立つものが沢山あれば、精神的に余裕を持つことができます。

不幸にして余命6ケ月と診断されたら、リビングニーズが使えるか聞いて下さい。
死亡保険金を生きているうちに先に受け取ることができる制度です。
私は、若いステージⅣのがん患者には、必ずさりげなくこの話をしています。