《1824》 がんに有効な漢方薬 [未分類]

がん医療、ここが分からないシリーズ・17

Q. がんに有効な漢方薬はありますか?

以前に長尾先生のブログを見て、漢方薬にたいへん理解のあるお医者様なのだと感心いたしました。

がんに有効な漢方薬、副作用対策に有効な漢方薬があれば、お勧めのものを教えてください。

A. 私は漢方が大好きです。
   というか、東洋医学が学生時代から大好きです。

   町医者が担う総合診療とは、東洋医学的な発想に思えてなりません。
   病気だけでなく、人間全体としても診る視点は医療で最も大切なこと。

   さて、がん患者さんによく使っている漢方薬といえば補中益気湯です。
   風邪が1週間以上続く人や、非定型抗酸菌症の人にも使っています。

   最近、無治療のステージIVの肺がんの方が、補中益気湯だけで
   腫瘍マーカーが10分の1に低下した症例を経験しました。

   http://apital.asahi.com/article/nagao/2015040200009.html

   補中益気湯ががんに有効なのか? 本当に寿命を延ばすのか?
   という命題には、統計学的検討が必要なので1例ではなにも言えません。

   その他のがん患者さんにも使っていますが、あくまで
   がんによる食欲不振、全身倦怠感対策として投与しています。

   また抗がん剤の副作用を抑える目的でも、漢方薬を使います。
   たとえば手足のしびれに対しては牛車腎気丸などを使います。

   西洋医学の専門医から見たら、笑われるかもしれません。
   また東洋医学専門医から見たら幼稚な使い方かもしれません。

   抗がん剤の副作用が強く、泣きついてくる患者さんが時々おられます。
   そんな人には、まっさきに漢方薬をお勧めしています。