《1827》 二度目の再発をしたので、もう治療を止めたい [未分類]

がん医療、ここが分からないシリーズ・20

二度目の再発をしました。もう何もやりたくはありません。

Q. 肝臓がんから二度目の再発をしました。今度は肺に転移しているようです。

48歳のときに最初のがんが見つかり、手術と数年にわたる抗がん剤治療で、もう10年近く闘い続けて来ました。

医師は、もう一度手術をしてみようと言いますが、私はもう精神的に疲れ果てました。ここから先は何もせずに、運を天に任せようと思います。しかし、妻と娘からは「闘ってほしい」と泣かれます。

私は、「これ以上治療をしても延命できそうもない」と考えるのですが、私は間違っているでしょうか。


A.
 10年もがんと闘ってこられたとは、たいへんお疲れのことと察します。
   本当に御苦労さまでしたと、心からお見舞いを申し上げます。

   大腸がんであれば、肺や脳に遠隔転移をしても、転移巣を除去すれば
   完治する可能性がありますが、肝臓がんでは厳しいかと思います。

   おそらく、肺の転移巣への手術適応はないでしょう。
   今見えている以外にも、小さな転移巣が無数にある可能性が高いからです。

   おそらく、ネクサバールという肝臓がんへの分子標的薬が使われるでしょう。
   多少の効果は期待できますが、限定的なものかもしれません。

   手足の皮膚炎といった副作用が強く出る場合もあります。
   また効果が無いと判断された時、次の抗がん剤は手詰まりとなります。
 
   施設によっては、肺転移に対して血管内治療などの局所治療を行うかも
   しれませんが、疲れた状況で、それを受けるだけの体力・気力はあるのか?

   家族と何度でもよく話すことでしょう。
   そして主治医とも話し合ってくだささい。

   必ず抗がん剤の“やめどき”がある、というのが私の考えです。
   そのタイミングは絶対的なものではなく、その人の生き方によって大きく変わります。

   詳しくは「抗がん剤・10のやめどき」という本に書いたので参照してください。
   このがん小説の中では、特にセカンドラインのあたりの話を詳しく書いています。

   とりあえず、やるやらない、ではなくて、ひと休みされてはいかがでしょうか。
   そろそろ緩和ケアに長けた在宅医を探しておいたほうが、安心できるかと思います。