《1832》 がんの「完治」は本当にあるか? [未分類]

がん医療、ここが分からないシリーズ・25

がんの「完治」は本当にあるのですか?

Q. 先日の長尾先生のブログでは、5年生存=がんの完治ではない、と書いてありました。また、手術でがん細胞を取り残してしまう場合もあるともありました。

そうした状態で、医師の言う「がんが完治した」とは一体どういう状態のことですか? 完治というからには、二度とがんにはならない、ということではないのですか?

A. がんが発見されて治療して5年後に生きていからといって、完治したとは言えません。
   どこかにがん細胞が残っていて活動するタイミングを待っている可能性があります。

   すでに活動開始していても、転移巣として認識されるまである程度の時間もかかります。
   乳がんを手術して10年以上してから、骨転移で再発した方を経験したことがあります。

   「完治」という言葉を使えるまでには、長い期間が必要です。
   しかし一般的には、10年くらい再発しなければ完治と言っていいのでは。

   医学用語では、ほぼ治ったであろう=略治のことを、“寛解”とも表記します。
   白血病などの血液疾患でよく使われますが、固形がんでも言われることがあります。

   まったく別の場所に、あらたにがんができることを、重複がんと言います。
   同時にできれば同時性重複がんで、時間がずれたら、異時性重複がんと言います。

   たとえば、胃がんと大腸がんが同時に発見されることは珍しくありません。
   一方、胃がんの治療後10年以上経過してから大腸がんが発見されることもある。

   すなわち、あるがんが完治した後でも、別のがんが同じ臓器に新たに発生することがある。
   特に大腸がんや肝臓がんなどでは、そのようなことが起こります。