《1934》 セカンドオピニオン外来 [未分類]

昨日、〝がんは放置したほうがいい〟と主張される近藤誠先生のところに
セカンドオピニオンを聞きに行った人の家に偶然、往診をしていました。

セカンドオピニオン代3万円に、ちゃんと消費税もついていたとのこと(笑)。
交通費と診察料を合わせて5万円強も払って話はたった10分だけだったと。

しかし有名な先生を拝めてそれはそれで良かった、というようなことを言われた。
まあ、有名なお寺に参拝して高いおさい銭を払ってきたようなもの、なのでしょう。

しかしその人はその後も今も、抗がん剤治療と放射線治療をしっかり行っていました。
私は「それは矛盾しているよ」なんて突っ込みは入れずに、黙って聞いていました。

悩める患者さんが大枚はたいてそのセカンドオピニオンにわざわざ行かれた。
その理由とはおそらく「選択肢はひとつではない」と納得したかったのかも。

そのがん患者さんと話をしながら、そんな気もしてきました。
「嘘だと分っていても好きだと言って欲しい」、は流行歌の歌詞ですが。

がん治療におびえる患者さんにとって、「何もしなくてもいいよ、何もしないほうが
長生きするよ」とささやいてくれる偉い医者の存在自体がその人には大きな救いなのか。

話すだけで気分がスーッと楽になるのであれば、5万円は安いのかもしれません。
誰だって貧すれば鈍するではないが、そんな弱気になる時があるのではないでしょうか。

実は、同じセカンドオピニオン外来に行かれた人が他にも何人か来られました。
上記の方以外は、みなさんすごく怒り、そして泣いて帰られました。

私は何の権威も無い町医者なので、自分の本を無償で提供するくらいしかできません。
しかしそれでもいい、誰かの役に立てればいい、と思いながら、また本を書きました。

近著は、おかげさまで発売5日目に重版しました。応援ありがとうございます。
驚いたことに、台湾や韓国などアジアの国から翻訳本のオファーも頂きました。

なぜなら、「がん放置療法」など近藤誠先生の書かれた本は台湾でも大人気だそうです。
従って、私の本も台湾をはじめ、アジアの皆さまにも読まれることになるのでしょう。

台湾というと、台湾から飛び立った特攻隊のことをつい思い出してしまいます。
特攻隊、原爆投下、終戦前の長い1日、この季節になるとつい涙腺が緩んでしまいます。

とにかく暑い毎日をなんとか無事乗り越えてください。
クーラー使用とこまめな水分補給を忘れずにお過ごしください。

参考文献) 「長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか?」(ブックマン社)