《1953》 誤診と〝がんもどき〟の違い [未分類]

先日、ある人と話していたらこんな話になりました。

「母親が腎臓がんだと言われて手術したら良性だった。
あれは近藤誠先生のいう"がんもどき"だったはず」

うーん。
きっと術前にいろんな検査をして腎臓がん濃厚とのことで手術したのでしょう。

切除標本を顕微鏡でよく調べてみたら、どこにもがんはなく良性だった。
実は、以前にも書きましたが、肺がん疑いでも同様なことがありました。

これは、結果的に誤診だった話で、がんもどきの話とは別だと思います。
〝がんもどき〟はがんだけど放置しても死なないタチのいいがんのこと。

誤診と〝がんもどき〟は全然違うんじゃないかな。

実は誤診という言葉も、本当は間違っています。
本来は、医療の限界とか医療の不確実性と言うべきものです。

どこまで検査してもがんかがんでないか分からないことが、現実にあります。
手術してからはじめて結論が出るような病変もあるのです。

医学も医者も万能ではありません。
よく分からないことのほうが、たくさんあるのです。

それでも前に進まないといけない時がある。
もし本物のがんだった場合、放置しておいたら大変なことになります。

医療の不確実性。

分かりにくいですか?
実際、不確実性の無い医療など世界中、どこにも存在しません。

いずれにせよ、患者さんに誤診と〝がんもどき〟の違いを
説明することは意外に難しく、時間がかかることなのです。


参考文献) 「長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか?」(ブックマン社)