《1976》 がん放置療法は後期高齢者から [未分類]

昨日は、大阪駅で「おひとりさまの平穏死」をテーマに講演しました。
200人しか入らない会場に400人以上の応募があったと。

関心の高さに驚きました。
みなさんが反応したのは「おひとりさま」なのか「平穏死」なのか。

おそらく両方なのでしょう。
おひとりさまのがんと認知症の関心が強いことがよく分かりました。

地元での講演では、ついつい口が滑ってしまうことがあります。
大阪のおばちゃんがよく笑ってくれるしウケがいいので、気分がいい。

話しているうちに、なんとなく後期高齢者のがん話になり、思わず
「後期高齢者のがんは放置したほうがいい場合がある」と話しました。

「慶応大学の近藤誠先生の本は後期高齢者限定ですよ」なんて冗談を
言った時に会場のみなさんが「ウンウン」とうなずくのがよく見えました。

ここでそんなに受けるとは・・・
みんなそのように思っているのかなあ?

講演終了後、何人かの方が話しかけてきました。
「がん治療の副作用で苦しみたくない」という方が何人かいました。

そのうちの一人は、なんと中学校時代の国語の先生でした。
私が「先生、相変わらず国語が苦手でして・・・」と言うと

「そうやね。あかんねえ」みたいなことを言われました。

恩師の言うことですから、当たっています。
40年以上経っても国語力は小学生のままです。

恩師の先生も元気にされていることを知りうれしかった。
がんにも認知症にもならず、まだ活躍されていました。

今後、高齢者のためのがん治療をもっと真剣に考えないといけません。
若者と区別するとエイジズムという非難を浴びますが、それでも必要。

昨日の講演がなぜスムースに行ったのかを考えていました。
それは聴衆のほぼ全員が高齢者だったからかもしれません。

いろんな年代の人がいる講演会では、どの年代に向けて話すか迷うことがある。
しかし昨日のように高齢者限定だと、非常に話がしやすいことに気がつきました。

参考文献) 「長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか?」(ブックマン社)