自分の親が胃瘻になると、いくらかかるのか?
医療費を心配される方が正直、多いでしょう。
結論から言えば胃瘻自体の医療費はそうかからない。
一旦医瘻が出来てしまえば、かかるのは栄養剤費位。
病院では保険が効かない栄養剤(食品)を使います。
しかし在宅では、主に保険が効く栄養剤(薬剤)を使います。
病院は包括払い(ポッキリ料金)ですから食品だと助かります。
給食費と同じで、食べものを自己負担してもらうのです。
しかし在宅では薬剤費は出来高ですから、薬剤でも可能です。
栄養剤の医療費を除けばそれを維持するためのコストとして
訪問診療や往診、訪問看護に要する医療費がかかります。
しかし、これは胃瘻があろうが無かろうがかかる費用です。
胃瘻が入ると医療費負担が増えるということは特にありません。
普通の老人の在宅医療は1カ月1万2千円が負担上限ですから、
特に医療費が高いとは言えません。むしろ安いぐらいでしょう。
参考までに胃瘻は40万人と言われていますが、
人工透析患者さんは、24万人いるそうです。
人工透析の医療費は、年間1兆3千億円です。
一人あたりの年間医療費では543万円になります。
一方、胃瘻を入れて在宅で管理する場合の医療費は、
1カ月数万円程度として、年間100万円位でしょうか。
介護保険費は、要介護4として月30万円。
すべて使ったとして、年間360~400万円。
医療と介護を足すとやはり500万円位かかる・・・
医療費の自己負担は、多くの方は1割負担です。
しかも月1万2千円など自己負担には上限がある。
医療費は莫大だが、自己負担額は決して高くはない!
高くは無い!と書くと大きな反発があるでしょう。
年金生活者には、月1万円でも苦しい金額だ。
2割負担なので、高くついて困るじゃないか・・・
しかし、よく考えてみてください。
健康保険が適応されるのです。
胃瘻に関わるほぼ全てが保険で賄われる。
この凄さを感じることは、意外に難しいかも。
しかしもし、胃瘻が保険適応外だったらどうか?
おそらく胃瘻を選択する人は、激減するでしょう。
もし、高齢者の人工透析が保険適応外だったら?
これも、透析を中止するか腎移植を受けるでしょう。
年間500万円を払い続けれる人はあまりいないはず。
こう書きながら、「すごい金額だなー」と驚いています。
私自身も、そこまで深く考えたこともありませんでした。
しかしまあ、年間500万円を誰が負担しているのか?
そう考えると、胃瘻の医療費は安い、と思います。
ですから胃瘻問題の本質は、患者さん側からは
少なくとも医療費自己負担額では無いはずです。
胃瘻問題の本質。
国から見れば、やはりお金の問題でしょう。
しかし患者さんから見れば、延命を中止できないことでしょう。