2大会連続、100と200mを制したボルト選手のお話。
体が大きいから速いのかと思っていましたが、誤解でした。
彼は、もの凄い努力で、大きな試練を乗り越えた偉人です。
彼は、相当な「側弯」です。
背骨が、大きく湾曲しているのです。
外から見ても明らかに背中は非対称。
走る時の歩幅は、左右で20cmも違う。
骨盤も傾いています。
当然走る姿勢も、傾いています。
必ず無駄な動きが生じます。
短距離ランナーとしてはかなり不利なハンデイー。
そのハンデイがあったからこそ、彼は努力できた。
彼は、スタートが大の苦手。
第1歩目の着地は、他の選手より0.05秒遅い。
スタートの練習のしすぎで、太腿の筋肉を痛めました。
世界選手権は、まさかのフライングで失格。
スタートへの焦りがあったのでしょう。
1ケ月前のジャマイカの国内予選でもライバルに敗退。
まさに、背水の陣で臨んだロンドンオリンピックでした。
スタートのことは忘れて、後半のスピードに集中しました。
自分の欠点を忘れ自分の長所をイメージして勝ったのです。
ボルト選手は、自分の短所を長所で見事に補いきりました。
短所があるからこそ、長所を伸ばすことができたのでしょう。
あの強靭そうに見える肉体にも驚くべき課題があったのです。
実は、私自身も相当な側弯です。
足の長さも左右で2cm位違います。
レントゲンを撮ると驚く位、骨盤も傾いています。
左足がよくつまづきます。
靴底の減り方も、左側が極端に酷い。
だから垂直に立つことができません。
ところで、側弯は、障がいでしょうか?
障がいだと思うと障がいになるのかもしれません。
しかし完璧な人間などこの世に存在しませんよね。
欠点は長所でカバーできる。
ボルト選手はそれを証明してくれました。
あの独特のポーズは、彼が自分に勝った喜びなのでしょう。