《0964》 悪性胸膜中皮腫の抗がん剤治療 [未分類]

肺がんと似た病気に、悪性胸膜中皮腫という病気があります。
アスベスト(石綿)を吸って40年してから、発症する病気。
まさに忘れたころに突然症状が出るという恐ろしい病気です。

いきなり胸水が貯まるのが悪性胸膜中皮腫の特徴です。
肺がんの場合、胸水が貯まるとある程度、進行しています。
しかし悪性胸膜中皮腫の場合、いきなり胸水貯留から始まるのです。

悪性胸膜中皮腫は、早期発見が難しいと言われています。
CTで、胸膜の肥厚や胸水から疑います。
あとは、職業歴や居住歴も重要です。

尼崎は、この悪性中皮腫で有名になりました。
アスベストを扱う企業の従業員や周辺住民に
悪性中皮腫が多発しているのです。

私自身もこれまで、悪性中皮腫の患者さんを
在宅で最期まで診たことが数回あります。
肺がんとは全く違う、ゆるやかな呼吸困難が持続します。

この病気は早期発見できれば、片肺と胸膜をまとめて切除します。
手術に加えて放射線もあてます。
これはⅠ期とⅡ期の場合ですが、実際はそう多くありません。

Ⅲ期は、抗がん剤治療の対象となります。
上皮型には、化学放射線治療が行われます。
シスプラチン+アリムタというお薬が使われます。

残念ながら肉腫型には、有効な治療法が無いのが実情です。
岡山大学ではがん治療遺伝子・REICによる治験が開始。
いずれにせよ、悪性胸膜中皮腫はかなり手ごわい相手です。

【PS】
昨夜は、尼崎と鈴鹿市で講演しました。
鈴鹿市は、ケアマネと医師会の仲が良く、
お互いの会長さんとも、在宅医療に熱心でした。

先週、講演させて頂いた石川県、岡山県同様、
三重県鈴鹿市も、地域医療の底力を感じました。
いろんな場所でいろんな人と出会えて幸せ者です。

鈴鹿といえば、F1の小林可夢偉選手を思い出しました。
彼は私のクリニックのすぐ近くで育ちました。
我が街、尼崎が生んだ、若き英雄です。