《0997》 町医者には拷問に見える「がん性腹膜炎の抗がん剤治療」 [未分類]

がん性腹膜炎とは、お腹の中にがん細胞が散らばった状態。
胃がんや大腸がんや膵臓がんの終末期の病態です。
がんがチューインガムのようになり腸を癒着させています。

がん性腹膜炎が進むと、腸閉塞(イレウス)になります。
あるいは、腸閉塞の準備状態(サブイレウス)になります。
そうなると、もう食事が取れないのが病院での常識でした。

しかし在宅ホスピスでは最期まで何かしら食べています。
お口からウンチが出てくることも無ければ、
鼻から胃に通す管を入れることも、全くありません。

自然な脱水に任せていたら、必ずそうなるのです。
一時的に食べられなくても放っておけばそうなります。
もっとも「放っておくこと」「待つこと」ができないのですが。

先日、高名な医師からご家族のがんに関する相談がありました。
「がん性腹膜炎なので、IVHをして抗がん剤をしているんだ」
私の「平穏死・10の条件」を読まれて意見を求めてきたのです。

往診先で急いでいたので、つい結論を言ってしまいました。
「先生、それは最悪のパターンです!」
ちなみにその患者さんの主治医は、有名ながん専門医。

「IVH(中心静脈からの高カロリー栄養)が、まずダメです」
「なんで?食べられへんかったら、死んでしまうやないか!」
「死にません。自然な脱水になるだけです。それで腸閉塞は解除します」

IVHが何故、いけないのか?

みなさんは、PET検査をご存知ですか?
特殊な造影剤を注射してCTを撮れば、がんが光るという人気検査。
がん患者さんには保険適応ですが、自費検診として受けることも可能。

その造影剤とは、放射性同位元素をラベルしたブドウ糖です。
がん細胞は真っ先にブドウ糖を取り込むので、そこが光ります。
ブドウ糖を注射すればがんが先に取り込み、がんが急成長する!

そこに大量の水分を入れるのが、IVHです。
腸閉塞とは、漢方でいうなら、「水毒」状態です。
腸管の壁も浮腫み、腸管の中にも大量の腸液が貯まっています。

そんな水毒状態に、さらに水を入れるのがIVHです。
腸管はさらに浮腫み、腸管内腸液はさらに貯まります。
これでは腸閉塞は改善するどころか酷くなる一方です。

すなわちIVHで、がんは急成長して腸閉塞は悪循環に陥ります。
そこに抗がん剤を入れて健全な細胞を傷つけて体力を低下させる。
以上が、IVHしての抗がん剤治療がまったくダメな理由です。

私に言わせれば、それは「治療という名の安楽死」です。
過激ですか?
安楽ではないので寿命を縮める「拷問死」にも見えます。

ハッキリ言って、私の考えとは正反対の医療が行われています。
その問題について書いた本が「平穏死・10の条件」なのです。
しかし町医者の書いた本など、がんセンターの医師には相手にされない。

わざわざ相談に来られた医師は、半信半疑で帰られました。
まあ、天動説の時代に地動説を主張している訳ですから、
そうは簡単に分かっていただけないのが、普通でしょう。

素直な頭の市民のほうが、まだ理解し易いのかもしれません。

「IVH下での抗がん剤」=「がんに優先的に餌を与えて、体に毒を盛る」
そんな治療法で、がん性腹膜炎が治ることは、あり得ないと思います。
ましてや腸閉塞が改善して再び食べることなんて、考えられません。

「脱水は友」の意味を少しはイメージして頂けるでしょうか?
脱水は、終末期において神様がくれた自然の恵み、なのです。
しかし現代医学は終末期においても、脱水=悪としています。

「がん性腹膜炎=終末期」ではありません。
「がん性腹膜炎=腸閉塞」でもありません。
しかし、だからと言って抗がん剤で責めるのが正しいのか?

がんにタップリ栄養を与えながら、土佐衛門状態にして、
そこに、副作用の強い抗がん剤を入れるのが良い治療?
私はサッパリ理解できませんが、その治療は続きました。

結局、2週間後に、その病院で亡くなられたそうです。

【PS】
お正月が、どこか遠い世界に思えます。
雑用に埋もれて1日が過ぎて行きます。
ノロとインフルで、慌ただしい日々。

年末年始のツケが回ってくる週です。
患者さんは一気に、来る時は来ます。
待ち時間がかなり長くなっています。

今日は、過激な私見を書きました。
今までずっと思ってきたことです。
そろそろ、佳境に入って行きます。